| ナルシマの一言懸命。 |


自転車レースの世界最高峰にして世界で最も過酷なスポーツと称される「ツール・ド・フランス」の現地観戦を目的に、7月の終わり、パリに行ってきました。
このロードレースは、フランス国内3千キロ余りを、アルプス山脈をいくつも越えたりしながら21日間かけてひと巡りするもので、その所要時間の最も少ない者が総合優勝者となる、というのがごく大雑把な構図となります。そしてその最終ゴール地点がパリというわけです。古くから自転車競技が盛んなヨーロッパ諸国では、これに出られること自体が、まず末代まで語り継がれるほどの大変な名誉。区間優勝などしようものなら、95回を数えるレースの歴史に永遠に名を連ねることになり、そして総合優勝は夢のまた夢。かつて、イタリアのプロチームに所属した日本人でこれに参戦した人がひとりだけいましたが、完走さえもままなりませんでした。そういう世界です。
それから15年が過ぎ、最近は自転車ブームに沸く日本ですが、しかし歩道走行からなかなか抜け出すことさえできずにいる現状(自転車が歩道を走るのは世界の先進国で日本だけの異常事態。実は法的に自転車は軽車両の扱いであり車道走行が規定されているにもかかわらず)だけを見ても、文化としての自転車を取り巻く彼の地の底辺の広さ、奥の深さに到達することは、残念ながら想像の及ばないところです。そしてその頂点に立つひと握りの選手たちが世界中から出場していることを考えれば、ツール・ド・フランスで日本人が区間優勝するよりも、サッカー文化が形成されつつある日本がW杯で優勝するほうが、まだ現実的のように思えます。
さて夏のフランスを舞台にするこのレースですが、今年の総合優勝者はスペイン人でした。近年は他のスポーツと同様にアメリカ勢の台頭も著しく、フランス選手は影が薄くなりがちです。それでも、一所懸命に走る選手に分け隔てなく声援を送るフランスの人たちは、自転車と自転車レースをこよなく愛しているのでしょう。そしてそういう文化的土壌が、素晴らしい自転車選手の眠れる才能を発掘していく力になるのかもしれません。
(つづく)
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